金色の少年




 その人物とすれ違う者は皆、一様に息を呑み、自分の横を過ぎ去った光を眼で追った。
 軍人など皆同じ服装であるはずなのに、――否、だからこそか。一人異なる光を纏っているからなのか、思わずはっと振り返るほど眼を惹き付けるものがある。

 高い位置で括られた金の髪は癖ひとつなくさらりと背に流れ、陽光を柔らかく反射して煌めきを零す。その金糸に縁取られた文句なしに整った顔は、どこか中性的な面立ちをしていて、年齢と性別を感じさせない。軍人にしては華奢な身体つきと相まって一見女性に見えるも、だがそれを裏切る、鋼の意志を封じた強く光る金の双眸。

 ――何者だ?

 中央司令部の中枢を歩いているからにはまさか散歩では有り得ないだろうが、こんな人物に心当たりはない。只者ではないと彼を取り巻く雰囲気が物語っているものの、一度見れば強烈な印象を持ってして網膜に焼き付いてしまう姿は、おそらく初めて見るものなのだ。


 振り返る人々は皆首を傾げ、眉根を寄せたが、その中の誰として、気づくことはなかった。



 金髪に、金色の瞳。


 その希有な色を持つ、鋼の銘を冠する少年の名を。








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